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K中隊の日々

[考察] NYPD 新型無線機と暗号化について

久々に時事ネタを書き連ねたいと思います。

◆昨年11月頃から、PBBN(ブルックリン北管区)内の各分署において新型携帯無線機の先行貸与が始まっています。
これは現在主力のVertex Standard製VX-537無線機を置き換える目的で、将来的にはNYPDの次期主力無線機になるとされています。現行のVX-537はすでに導入から10年以上が経過しており、機材の更新スパンから見てもこのタイミングでの更新は想定通りと言えるでしょう。しかしながら次期主力機は今までとは一風変わった物になりそうです。
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(写真1 左) VX-P949外観、APX-900に非常に近い事が分かる。
(写真2 右) P949およびケースの外観、ケースもスイベル式・刻印有の専用品。
https://twitter.com/NYPD94Pct/status/1072281080353431558
https://youtu.be/M3l0t9yCTT4


◆新型無線機の名称はVertex Standard製 VX-P949で、同社の親ブランドであるMotorola製APX-900をベースにしています(この型は欧州モトや大陸方面でも名前を変えて展開しています)。ベースにしていると言ってもブランドロゴが「Vertex Standard」である事を除けばほぼAPX-900そのもので、事実貸与品の筐体背面およびバッテリーには"M"マークが刻印されています。これはVertex Standardが吸収合併によりMotorolaの一部門となっている為で、本国では市警察とVX側の契約上の理由によりブランドロゴのみを変更している可能性が指摘されています。
また当該機はテンキーを廃したキーパッドモデルで、従来機に一見すると類似したUHFアンテナを使用していますが、コネクタに互換性はありません。スピーカーマイクは一般的なAPXのそれと同じようなデザインですが、送受機前面部のブランドロゴにはデパートメントロゴおよびNYPDの文字がプリントされた独自仕様となっています。そのほか先代のSaberやVX-537にあったような"PROPERTY OF NYPD"刻印は無くなり、筐体下部および背面バッテリー部に"NYPD"とのみ刻印が施されています。

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(写真3 左) 専用のスピーカーマイク
(写真4 右) 現行主力機のVX-537


◆ちなみに、2017年にVertex Standardから全く同名の民生向けVX-P949がローンチされましたが、こちらはAPX-900系をベースとしつつ若干デザインに手が加えられています。しかしながらこの民生機はプロットの公表のみで2019年5月現在も販売がされておらず、このままお蔵入りになるのでは、と噂されています。2000年代後半頃、VX-537がNYPDのイシューとなった途端に同型民生機の販売が絞られた事を考えると、驚くことではないかもしれません。
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(写真5 左) VX-P949のベースとなったAPX-900、ブランドロゴは変更されている。
(写真6 右) 2017年にローンチされた民生向けVX-P949、今の所販売はされていない。
https://fccid.io/AZ489FT7099/External-Photos/External-Photos-3535873


◆さて新たな主力機となるVX-P949ですが、特筆すべき点としてAPCO P25規格である事が挙げられます。市警察の当該モデルがどのフェーズに対応しているのか等々、外野からは伺いしれない事ばかりですが、少なくとも今のところは従来機と混在した運用のため、通常のUHFで運用していると思われます。ただし今後VX-537を完全に置き換える事が出来れば、現在アナログで構成されている多くの署活系、広域系などもデジタル化、さらには暗号化される可能性が高く、本国では多くのリスナーが関心を寄せているようです。

と言うのもNYPDは、P25が全米でごく一般的な仕様となった2010年代以降も大々的な機材更新をしておらず、現在も一部の周波数帯(対テロや内務調査局をはじめ秘匿性を要するユニット)を除き大部分はアナログUHFで運用しているからです。これは単に予算的な、あるいは技術的成熟度を見極めるという判断よりも、NY市が抱える都市の構造的な問題(複雑な建築物や巨大地下etc...)によるシステム更新の難しさを示しています。2014年頃よりP25に対応したAPX-7000がESUおよびCTBに導入され、鉄道警察部門も地下鉄インフラの更新に伴い同機種に変更されましたが、これはVX-P949導入を見越した全周波数帯暗号化への布石だったのかもしれません。現在、上記に挙げたAPX移行済みのユニットを除いた大部分のユニットは、VX-537およびVX-824の2機種を使用していますが、リークされた情報によれば両機とも全て置き換えたうえで、数年内に暗号化へ移行することを示唆しています。
NYPD Memo
(写真7) VX-P949への移行を通達するデパートメント・メモ

とはいえNYPDの各無線はFDNYやDHS、連邦機関などなど他の組織もモニターしている以上、安易に暗号化へと踏み切れないのではという意見もあります。しかしながら近年、盗難無線機からと思われる偽の10-13(緊急応援要請)コールやオフィサーダウンコールがイラズラで発報されたインシデントもあり、さらにはテロ対策も考えれば、今後さらに無線の管理・運用が厳格かつ閉鎖的になっていくのは明白です。NY市で警察無線を傍受することはあと数年で叶わなくなってしまうかもしれません。


  1. 2019/05/06(月) 21:11:13|
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